4-1 審判と訴訟の話


意匠における「審判」や「訴訟」について、教えてください。

1.出願中の審判

拒絶査定不服審判とは

出願した意匠に「拒絶理由通知書」が出された後、示された拒絶理由が解消されていないと審査官によって判断された場合、「拒絶査定」が出されます。これに対し出願人は、所定の期間内に 特許庁に拒絶査定不服審判を提起することができます。拒絶査定不服審判では、審判官によって拒絶理由の有無が判断されます。

拒絶査定不服審判で拒絶理由が見つからないと判断されれば、登録されます。
逆に、拒絶査定不服審判においても、拒絶理由を有すると判断されれば、拒絶審決が出されます。

出された拒絶審決に不服がある場合、出願人は裁判所に審決取消訴訟を提起することができます。

2.意匠権の審判

無効審判とは

意匠権が発生した後、第三者は「当該権利が無効である」と主張し、 特許庁に無効審判を提起することができます。
無効審判では、審判官によって権利の有効性が判断されます。 無効審判で「無効理由が見つからない」と判断されれば、権利維持の審決が出されます。逆に、無効審判においても無効理由を有すると判断されれば、無効審決が出されます。

維持審決、無効審決いずれの場合でも、これに不服があれば、権利者または無効審判請求者は、裁判所に審決取消訴訟を提起することができます。

無効審判を請求された!

あなたの意匠権に、ある日突然、 無効審判が請求されることがあります。これは、あなたの意匠権を邪魔に思う人が、あなたの権利を抹消しようとするためのものです。つまり、あなたの権利を無効にして権利行使ができなくさせようとするものです。

このような場合、あなたは、自分の意匠権が有効であることを答弁書によって主張することができます。無効審判を請求されたら、まずは弁理士にご相談ください。

意匠に関するご相談,お悩み等をお気軽にご連絡ください。メールやお電話でのご相談は無料です。03-5368-1705受付時間 10:30-17:00 [ 土・日・祝日除く ]

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3.訴訟 ~ 裁判所による判断

意匠権の審決取消訴訟侵害訴訟になった場合、裁判所(知的財産高等裁判所)の判断にゆだねられます。裁判所にて、意匠権の内容と、他人の製品の意匠とが、同一かまたは類似するかが判断されます。

意匠が類似と判断されれば、権利行使が認められ、製造販売の差し止め損害賠償請求が認められます。逆に、類似しないと判断されれば、権利行使は認められません
意匠の類否判断は、物品の同一・類似の判断 と、形態の同一・類似の判断 がされ、その一方が非類似と判断されれば、意匠は非類似となります。

裁判所での両意匠の物品の類否判断は、機能と用途に共通性があるか 否かで判断されます。両意匠の形態の類否判断は、美観が共通するか によって判断されますが、その際には、登録意匠の創作性の程度などが考慮されます。すなわち、意匠の類否判断を行う際には、公知意匠の存在やその物品の有する基本形状、機能に伴う形状なども考慮されます。
なお、意匠が類似するか否かは、需要者の観点を基準として判断されます。

審決取消訴訟とは

審決取消訴訟とは、拒絶査定不服審判、特許無効審判などで特許庁が出した審決に対して、審決の取消を求め、提訴を行う訴訟 のことを指します。つまり行政機関である特許庁の判断が適法であるかどうか、裁判所が判断するものです。
審決取消訴訟の請求に理由があると判断されれば、裁判所は当該審決を取り消して、再度事件が特許庁の審判に差し戻されます。

侵害訴訟とは

侵害訴訟とは、自分の意匠権の意匠と 同一または類似する意匠の物品を販売等している者に対して、差し止め請求(販売等をやめさせること)や、当該行為によって生じた損害賠償を請求する訴訟です。
侵害訴訟では、意匠権の意匠と、対象製品の意匠との類否判断が大きなポイントなる場合がほとんどです。

自分の権利が侵害されている

自分の意匠が他人に使われている!

あなたは特殊なデザインの「机」の意匠権を取得し、販売を開始したところ、B社があなたの意匠権と同じ形状の「机」を格安で販売を始めました。調査してみると、B社は、X国で格安に部材を調達して、日本で組み立てを行い販売していました。

このような場合、あなたは意匠権に基づいて、B社に差し止め請求ができます。また、損害を被った場合には、その損害賠償を請求することもできます。

自分の意匠権と同様の物を見つけたら、まずは弁理士にご相談ください。

他者から訴えられた

警告状がきた!

あなたは「Tシャツ」にオリジナルの動物のデザインをプリントして販売していたところ、突然知らない会社Aの名前で、「警告状」なるものが届きました。警告状には、「販売しているTシャツは我々の 意匠権を侵害 しているため、すぐに販売を停止するか、使用料を支払え」という旨が記載されていました。

このような場合、どのように対応するべきでしょうか?
もし、この警告状を無視していると、あなたは、A社によって意匠権侵害として訴えられ、場合によっては大きな損害賠償を負うことになるかもしれません。

警告状が届いた場合には、まず弁理士にご相談ください。本当にA社の意匠権を侵害しているのか、本当にA社の意匠権は有効なのかなどを検討する必要があるためです。

侵害訴訟における権利無効の主張

意匠権を有する他者から 自分の販売する製品に侵害訴訟を提起された時、そもそも相手の意匠権に疑問がある場合には、訴訟の場で 相手方の意匠権に対して無効を主張することができます。
これにより、裁判所によって「当該意匠権は、無効審判で無効にされるべき」と判断されれば、相手方による権利行使は制限されます。
 
なお、裁判所で「無効」と判断されても、その後の特許庁の無効審判で別の判断がされる場合もあります。裁判所での判断は、あくまでもその裁判の当事者にしか効力が及びません。
したがいまして、相手方の意匠権を消滅させるためには、やはり無効審判を請求する必要があります。

侵害訴訟における先使用権の主張

意匠権を有する他者から、自分の販売する製品に侵害訴訟を提起された場合でも、所定の条件を満たしているなら、先使用権を主張することができます。

先使用権とは、『意匠権者が意匠登録出願をした時点で、その意匠と類似するような製品を日本国内で製造販売等を行っているか、またはこの準備を行っている者は、その事業の範囲内で引き続きその事業を継続することができる』というものです。この場合、当然ながら、自分の実施している製品については、意匠権者の意匠を知らないでデザインしていることが必要です。

先使用権が認められれば、意匠権者から権利行使を受けることはありませんが、先使用権が認められるための条件は少し難しいので、警告書などを受け取った場合には、弁理士等にご相談ください

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