3-2 さまざまな意匠(2)
4.動的意匠とは ~ 動く意匠の保護
意匠法には「動的意匠」というものがあります。「動的意匠」とは、形状が時間とともに変化するような意匠をいいます。
たとえば、蓋をあけると何かが飛び出すようなびっくり箱の意匠では、蓋を閉じた状態からは、その後どのように形態が変化するのかわかりません。また、箱が閉じた状態と開いた状態とでは、別意匠となってしまう恐れがあります。このような場合に、刻々と変化する形態を総合して一体の意匠として権利化するのが動的意匠です。
なお、通常、多くの物品には動作部分があります。しかし、その物品のある静止状態を捉えておけば、動いた状態も想像がつくことがほとんどです。たとえば、扉は開閉動作するものですし、車輪は回転するものです。このような場合、とりたてて動的意匠として出願する必要はありません。
5.画像の意匠とは ~ 画像デザインの保護
意匠法では、物品の部分のデザインとして「画像」のデザインも保護対象 とされています。しかし、「画像」であればすべて意匠登録可能であるわけではありません。あくまでも「画像」は物品の「部分」であるのです。(もちろん、「部分」を含んだ全体意匠として出願することは可能です。)
では、意匠法で保護される「画像」とは、どのようなものでしょうか?
1.「物品の機能を発揮するための操作に用いられる」画像であること
2.「物品の機能を発揮できる状態にするための」画像であること
を満たす必要があります。少し分かりにくいので、上記に該当しない例を示します。
例えば、いわゆるパソコン等の壁紙や映画の一場面などは、「物品の機能を発揮するための操作に用いられるもの」ではありません。
また、パソコンで表示されるOSの表示画面やインターネットを通じて表示された画像は、「物品の機能を発揮できる状態にするための画像」ではありません。
同様に、ゲーム機により表示される画像も、「物品の機能を発揮できる状態にするため」の画像ではなく、すでに機能を発揮した状態の画像とされます。
保護される「画像」としては、例えばHDレコーダー等の録画機能等を表示するメニュー画面などが該当します。
この画像は、物品「磁気ディスクレコーダ」の機能(例えば録画機能)を発揮するための操作に用いられる画像であり、かつ、機能を発揮できるようにするための画像と言えます。
(なお、この場合、「画像」は「磁気ディスクレコーダ」ではなく、これと一体で使用される「テレビ」に表示されますが、あくまでも物品は「磁気ディスクレコーダ」となります。)
6.秘密意匠とは ~ 意匠を秘密にして公開しない
ある意匠について意匠権を取得すると、その内容は公開されます。誰がどのような意匠権を有しているのか、他の人に知らせる必要があるためです。
しかし、デザインの計画から実際の商品化まで時間がかかる場合があります。このような場合、商品化直前に出願したのでは、似たような意匠を先に他人に出願されてしまうかもしれません。しかし、そのまま出願したのでは、商品化前にデザインが公開されてしまい、他人の模倣を助長しかねません。
このような場合、登録から3年間に限り、意匠が登録されても公開せずに秘密にする ことができます。
ただし、秘密にしている期間は、他人への権利行使(たとえば、他人が同じデザインの物品の販売を開始した場合、「販売をやめろ」という権利など)に制限が生じます。また、この秘密にすることの請求は、出願または第1年分の登録料の納付と同時 でなければなりません。
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